ASKA 『12』 制作秘話
@東京厚生年金会館 2010年2月14日
話し手:澤近泰輔 十川ともじ 熊谷昭(ディレクター) 越前直人(プロデューサー)
聞き手:天野みよこ(TUG OF C&A編集長)

澤近泰輔(さわちかたいすけ)
作曲家、プロデューサー、アレンジャー、キーボーディスト
1987年、CHAGE and ASKAのツアーに参加。その後『PRIDE』(CHAGE and ASKA/1989年)や『はじまりはいつも雨』(ASKA/1991年)を始め多数の楽曲をアレンジ。2001年よりCHAGE and ASKAのバンドマスターに就任。近年においてはASKAのシンフォニックコンサート、ビックバンド編成のコンサートにも参加。『STANDARD』(ASKA/2009年)においては全曲アレンジを担当。
またCHAGE and ASKA、ASKAに限らず藤田恵美、柴田淳、まきちゃんぐなどのアレンジ・プロデュースを手掛けるなど多方面で活躍している。
天野:十川さん、ASKAさんとのレコーディングはひさしぶりですか?
十川:いやそうでもないんです。チャゲアスではちょこちょこと。
最近ではアルバム『DOUBLE』の『地球生まれの宇宙人』で一緒でした。あの曲、最初ASKAソロということで作り始めたんだけど、結局CHAGE and ASKAのアルバムに入ったんです。そんなふうにソロとしてやり始めて、最終的にはチャゲアスになったりしてたから、ASKAさんのソロに関わったという意味では、15年ぶり。
澤近:『NEVER END』のあたりとか?
十川:そうそう、『NEVER END』以来。僕のブログにご指摘の書き込みがあって、あ~そうなんだと。でも毎年1曲は関わってたんで、そんなにひさしぶりという感じはなかったですよ。
熊谷:“15年ぶりだね”っていう書き込みは結構感動しましたね。「ああ、そうだったか!」みたいな。
十川:でも、本当に15年ぶりという意識はなかったですね。たぶんASKAさんにもその意識はなかったのではと思います。
天野:さて、この『12』の選曲ですが、すごく認知度もあるし、みんなに愛されている曲ばかりで、しかも1曲ずつが完成されていて、そういう曲をカバーする難しさや悩みもあったのではないかなと。どうですか、両巨頭?
澤近:(笑)いや巨頭じゃないけど。
十川:(笑)まずは先輩どうすか?
澤近:確かに難しさはあったけど、・・まぁでも通常のレコーディングでも悩むので(笑)。
ただ、過去の自分がやったものと向き合って、ちょっと余計悩むぐらいのことなので、たいしたことないですよ。
十川:(笑)またまたぁ
天野:ご本人としては、アレンジをがらっと変えたかったじゃないかなって。

十川ともじ(そがわともじ)
作曲家、プロデューサー、アレンジャー、キーボーディスト
1987年、CHAGE and ASKAのツアーに参加。
大ヒットを記録した「SAY YES」、「YAH YAH YAH」などのアレンジを手がけ、アレンジャーとしての名を世に浸透させた。
CHAGE and ASKA、ASKA、Every Little Thing、堂本剛、倖田來未など数多くのアーテイストのプロデュース、作曲、アレンジを手掛けるなど多方面で活躍している。
澤近:僕が今回担当した曲は、オリジナルアレンジから、あまり変えてないですね。
あ、でも『天気予報の恋人』は若干変えました。
そうそう、ここから先は制作秘話ね(笑)。
今回のレコーディングで、最初僕から提案した『天気予報の恋人』のデモはボサノバだったんですよ。「やりぃ」と思って持ち込んだんだけどね。ASKAさんに「うんうんうん」って言われて。
天野:(笑)それって、否定の前の「うん」だ。
澤近:そうそう否定の前の「うん」(笑)
澤近:で、結局ASKAさんの提案で、別パターンでやることになったんですが、ボサノバ『天気予報の恋人』も未だに好きだけど、やっぱりASKAさんの希望どおりやり直してよかったなって。
越前:ボサノバアレンジは、いつの日かライブかなにかで聴けたらいいですよね!
澤近:譜面おいておかないとね。(笑)
越前:昔の楽しい感じでウキウキしたデートじゃなくて、ちょっと時隔てた、しっとり、いい大人のデートみたいな感じで。
澤近:そう、そういう風にしようと思ったんですけどね。ASKAさんも、ちょっと楽しいのがよかったみたいで。
越前:でも、こういう話があったことを、ファンの人が知れば、「えっ?そんなバージョンもあるんだったら聴いてみたいな。」ってなると思いますよ。
熊谷:『天気予報の恋人』はもともと大好きな曲なのに、リリースした当初はあまり日の目をみてないっていうのかな?そんな意識がASKAさんにあったようなんですよね。で、澤近さんのボサノバ『天気予報の恋人』は大人っぽくてロマンチックでいいアレンジだったんだけど、オリジナル同様か、それ以上にストレートな楽しいアレンジにしたかったんだと思う。
天野:十川さんは、こんなふうな制作秘話はありますか?
十川:僕のアレンジした曲はオリジナルから変わってるものが多いね。
逆に僕は全然そんなつもりはなくて、本当はオリジナル通りやりたかったの。
でもそれは違うってASKAさんが(笑)
自分がアレンジしてない『DO YA DO』はイントロを残して、ほぼオリジナル通りで、リズムが違うだけにしたりしたんですけど、当時自分がアレンジした曲はオリジナルとかなり違う。
澤近:僕と反対なんだ。
十川:そうなんですよ。
天野:なんかそういう意図があったのかなぁ?
十川:いや、そういう意図とかではなかったんですけど・・
『風のライオン』は、最初に作ったものと、ASKAさんとスタジオに入って最終的にあがったものが全然違うものになったんですよ。
あんなロックなアレンジじゃなくて、もっとアメリカンポップスみたいなアレンジだったんだけど、
ああしようこうしようってASKAさんの導かれるままいったらああいうアレンジになりました。
でもリリースされた後に僕のブログには、あれが良いって言う書き込みが多かったから、
あぁ変えて良かったなぁって思いました。
天野:『風のライオン』ものすごくいいよですね。
十川:そもそも『風のライオン』は僕が最初に「やりましょうよ」って言って、
でもASKAさん、最初はやりたがらなかったよね、あんまり・・・。
熊谷:確かにASKAさん、最初の頃はぴんときてなくて、でも僕も十川さんも『風のライオン』って言い続けて、決まるまでに2ヶ月ぐらいはかかってるかな。(笑)
……続く



